ふらりと日本橋三越まで用事を済ませにいく道中、
大学に入って間もない頃、胸につける下着を買いに三越に行ったことを思い出した。
一人暮らし間も無かったので、母がクレジットカードの親子カードを渡してくれていた。
母から下着を買うのに予算一万円あれば十分でしょと言われていたが
三越の下着売り場で、欲しいなと思った下着は一枚12000円。
買って帰り電話で母に12000円だったと告げると、
何枚買ったの?と訊かれた。
1枚だと答えたら間髪入れずに怒られた
「18歳なんだからそんな高価な胸当てはいらないでしょ。洗い替え分も買わないで」
私はピンとこないものを数枚買うより、
そのレースの綺麗な下着1枚あれば気持ち良く過ごせる気がした。
繊細な下着を毎日つけては手洗いしていた。
子供心に母が言う通りの買い方をするのが大人というものなのか
私はこれからどういう人になるのだろう、
この頃から私は野望と不満の混沌とした心の時代がすでに始まっていた。