今よりうんと若かりし頃、
身に余る待遇をうけ、宿泊先のホテルのバーで言われたことがある。
「カオラインさん、
私は武器をもっていないんです、というのも武器なんですよ」
世間知らずの面が多かったのでその男性の言葉の意味が分からなかった。
あーそういうことだったのかと気づいたのは数年経ってからだ。
私の武器?そんなことは考えたこともなかった。
他の人たちはその武器とやらを自覚して持ち、つかっているのだろうか?
なんじゃ、それ。
武器なんか持てば面倒ではないか。
錆びた、壊れた、不足になったとあれこれ気になり煩わしいではないか?
武器ってものは相手にも武器をもたせてしまうのではないか。
そう思ってあれから20年。
武器のない生き方をして、傷を負ったことは多々あるが、こうして生きてこれた。
武器がないというのも武器だったのかな。