先日、とある銀座の場所で食事会があり、
それなら着物を着て行きましょう!と思い立ち、
実家の着物をまだ運んでいなかったのでレンタルすることにした。
足袋と簪とバッグだけを持参して選んだ着物に袖を通すとだんだんと気持ちが引き締まってきた。
日頃食べたい放題のゆるいウエストも、ここまでしか入りませんよとばかりに帯でギュッと締め付けられ、
食の細いか弱い女性が完成。
もちろんか弱いというのは己の願望?が美化したイメージで、散々労働と物づくりをしてきた手は男並みに大きく頑丈で、しっかり節もありとても白魚という感じはなく熊手のほうが似つかわしい。
まっ、それが事実だからよいでしょうと店をあとにして草履をよそよそと踊らせて歩き始める。
外はまだ夕暮れには早い時間で、着物での銀座に出勤と間違われることはないと思いながら、
もし出勤するならこんな感じなのかと想像して愉しめるのは快感でもある。
さて、食事会の席に着いて歓談を始めると自分の言動、声質、仕草に少し駄目出しをし始めた。
「なんだその会話は、ひどく頭を使っていない会話だな」
「その語尾、だをねに変えてはどうなの!まるで男のようだ」
もう、もうたくさん自分で自分が気になってくる。
着物を着ると普段女性らしくない自分に気づかされるのか・・・
ええい!
熊手は白魚にならないが、言葉と会話はまだ直しようがあるな、そう肝に命じた夜だった。