日本のDCブランド黄金時代。
わたしは高校生だった。
当時はパルコへお買い物に行くにも、何を着て行こうかとタンスの引き出しをひっくり返し
服を買いに行くための、着ていく服がないと嘆くほどパルコは眩しく、とてもトンガっていた。
思えば私はこの頃から靴が好きで、1足の靴を買うのに100店舗も回って気にいるものを探していた。
そんな時、パルコの高田善佐さんのブランド「KISSA」に出会った。
刑事のように歩けばカガトは減るが出逢えるものなのだ!と実感し、
臆することなく、その眩しいパルコの一角の小さな店にキューと吸われるように入っていったのを覚えている。
目の前には私が欲しかった素足で履けるカカトのあるウエッジソールの布靴!!
そう、そうこれこれ!!と何度、出ない声を張り上げただろう。
黒のプレーンな柄も飾りもないものを買い、コンバースと交互に履いていた時期の長かったこと。
その数年後、高田喜佐さんが雑誌の対談で葉山の海の砂浜に三つ編み姿で敷物の上に座っている写真を見かけた。
とても自然体を大切にされる人なんだなと感じながら、パルコの店を出していた当時のこと、縮小した理由などが書かれてあった。
何故かそのページが素敵に見えたので切り抜いて今も手元に置いてある。
そして4年前の度に久しぶりにKISSAの靴を買ったのだが、少し靴の型が変わったのか足に当たる場所が気になった。
多分、型ではなく履く私の足が変わったのだろう。
それでも30年以上も変わらずにKISSAがあったことが嬉しかったのだが、
先日、とうとう製造中止になったことを知り、今持っている靴が最後なのかと思うと履かずにとっておきたくなった。
でも既に天国にいる高田喜佐さんはきっと「靴は履いてもらうのが嬉しいのよ」と言うだろうな。
私らしさを支えてもらった靴に心からお礼を言いたい。
喜佐さん、ありがとう!